TOPICS

2026.03.21

こころの不調は脳だけでなく代謝も関係します

うつ、不安、イライラ、過食、意欲低下。
このようなこころの不調があると、多くの方は「気持ちの問題」や「脳の問題」と考えます。
しかし、実際にはそれだけではありません。

こころの状態は、代謝・食欲・炎症・睡眠・生活習慣・身体状態と深く関係しています。
そのため、精神症状を脳だけの問題として切り離すと、本来みるべき原因を見落とすことがあります。

たとえば、血糖の乱れは集中力低下や気分の不安定さにつながります。
また、睡眠不足や慢性的な疲労は、不安感や抑うつ感を強めます。
さらに、食欲の乱れや体重増加は、自己評価の低下や行動量の低下を通じて悪循環を生むことがあります。

こうした視点を考えるうえで参考になるのが、世界的に注目される精神医学誌 The Lancet Psychiatry に掲載された最新版の研究です。
この雑誌は精神医学分野で国際的に信頼されている主要誌のひとつで、今回取り上げる論文は2026年4月公開の記事です。

この大規模研究では、糖尿病治療薬のうちGLP-1受容体作動薬、特にセマグルチドを使用していた時期には、うつや不安をもつ人の精神状態悪化リスクが低かったことが報告されました。
この結果が示唆するのは、単に「ある薬が効くかもしれない」ということだけではありません。

むしろ重要なのは、こころの不調を身体の状態と切り離して考えるべきではない、という点です。
したがって、精神症状を考えるときには、薬だけ、あるいは心理だけで考えるのではなく、身体面も含めて評価することが大切です。

こころの症状をみる際には、次のような点も丁寧に確認する必要があります。

食事内容や食事リズムに偏りはないか

血糖の乱れが不調に関係していないか

睡眠の質や睡眠時間は十分か

慢性的な疲労や炎症の影響はないか

食欲や体重変化が自己評価に影響していないか

生活習慣やストレス負荷が回復を妨げていないか

こころの不調が長引くと、「自分の気持ちの持ちようが悪いのではないか」と感じてしまう方も少なくありません。
しかし、実際には、身体の条件が整わないために回復しにくくなっている場合があります。
だからこそ、こころだけでなく、代謝、食欲、炎症、睡眠、生活習慣まで含めて考えることが重要です。

研究の詳細を知りたい方は、
原著論文はこちらをご参照ください。

こころの不調を「脳だけの問題」と捉えず、脳・身体・生活のつながりを重視して捉え、その上で、ご自身の認知のあり方や環境を調整すれば、まさに『鬼に金棒』となり得るのかもしれません。

 

トピックス一覧へ戻る