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【コラム】神経発達症とは
【神経発達症とは何でしょうか】
神経発達症は、脳の発達の個人差によって生じる特性です。私たちは皆、それぞれ異なる特性を持っています。
身長や体重、顔立ちが人それぞれ違うように、脳の働き方にも個人差があります。
神経発達症は、そうした脳の働き方の違いが、日常生活や学習面で特別な配慮を必要とする程度に現れているということなのです。
【ADHD(注意欠如・多動症)について】
ADHDのお子さんは、まるで「心の中にいつもエンジンがかかっている」ような状態です。
これは決して「わがまま」や「しつけの問題」ではありません。
ADHDの主な特徴
(1)不注意の特徴
・集中することが苦手で、気が散りやすい
・忘れ物が多く、物をよくなくす
・話を聞いているようで聞いていない
・課題を最後まで完成させることが難しい
(2)多動・衝動性の特徴
・じっとしていることが困難
・順番を待つことが苦手
・思ったことをすぐに口に出してしまう
・危険を考えずに行動してしまうことがある
~ 保護者の皆様へ ~
ADHDのお子さんは、「やりたくてもできない」という状況にあることを理解してください。
叱るよりも、環境を整えたり、具体的な方法を教えたりすることが効果的です。
例えば、忘れ物が多い場合は、一緒にチェックリストを作ったり、持ち物を玄関に準備したりする工夫が有効です。
また、集中しやすい環境を整えるため、勉強机の周りの刺激を減らすことも大切です。
【ASD(自閉スペクトラム症)について】
ASDのお子さんは、「独特の感性を持つ個性派・少数派」としての面が大きく、世界を独自の方法で理解し、表現しています。
ASDの主な特徴
(1)コミュニケーションの特徴
・言葉の表面的な意味は理解できるが、裏の意味や空気を読むことが苦手
・相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが難しい
・自分の気持ちや考えを言葉で表現することが苦手な場合がある
(2)こだわりや反復行動
・特定の物事に強い興味を示す
・ルーチンや決まった順序にこだわる
・変化を嫌い、予定が変わると混乱する
・同じ動作を繰り返すことがある
(3)感覚の特徴
・音や光、触感に過敏または鈍感
・特定の食べ物の食感を嫌がる
・大きな音を怖がったり、逆に大きな音を求めたりする
~ 保護者の皆様へ ~
ASDのお子さんには、「予測可能で安心できる環境」を提供することが重要です。
急な予定変更は避け、事前に変更があることを伝えるようにしましょう。
また、お子さんの特別な興味や才能を否定せず、それを活かす方向で支援することが大切です。
強いこだわりも、適切にコントロールできれば、将来の専門性につながる可能性があります。
大切なのは「理解」と「支援」です。
神経発達症のお子さんに最も必要なのは、周囲の理解と適切な支援です。
【早期発見・早期支援の意義】
早期に特性に気づき、適切な支援を始めることで、お子さんの可能性を最大限に引き出すことができます。
これは「治療」ではなく、お子さんが持っている力を発揮しやすくするための「サポート」なのです。
家庭でできること
(1)お子さんの特性を理解する
・できないことを責めるのではなく、なぜできないのかを理解する
・ お子さんなりの努力や工夫を認める
(2)環境を整える
・ 集中しやすい、安心できる環境を作る
・視覚的な手がかりやスケジュールを活用する
(3)具体的で分かりやすい指示を出す
・「ちゃんとして」ではなく「机の上を片付けよう」など具体的に
・一度に多くのことを要求せず、一つずつ順序立てて
(4)良いところを見つけて伸ばす
・得意なことや興味のあることを大切にする
・小さな成長も見逃さず、しっかりと評価する
【専門機関との連携】
一人で抱え込まず、専門機関との連携を大切にしてください。
・児童精神科医や小児科医
・臨床心理士・公認心理師
・学校の先生やスクールカウンセラー
・療育機関の専門スタッフ
これらの専門家と協力しながら、お子さんにとって最適な支援を見つけていきましょう。
【最後に】
神経発達症は、お子さんやご家族にとって時として困難な面もありますが、同時に独特の魅力や才能をもたらすこともあります。
エジソンやアインシュタイン、スティーブ・ジョブズなど、歴史上の偉人の中にも神経発達症の特性を持っていたとされる人物が多くいます。
大切なのは、お子さんをありのままに受け入れ、その子らしい成長を支援することです。
完璧を求めず、お子さんのペースに合わせて、一歩ずつ前進していきましょう。
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