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【コラム】大人のADHDに潜む“氷山の下”の課題とは
ADHDは「氷山」のようなもの
〜見えない困りごとに気づくために〜
**ADHD(注意欠如・多動症)**という言葉を聞くと、
「集中できない」「落ち着きがない」「そわそわしている」といった印象を持つ方が多いかもしれません。
しかし、実際のADHDはそれだけではありません。
表面に見える特徴の背後には、日常生活や人間関係に影響を与える
“目に見えにくい困りごと”がたくさん隠れています。
この構造を「ADHDの氷山」と表現することがあります。
氷山の上に見える部分(一般的に知られている特徴)
- 集中できない
- そわそわしている
- 注意が散りやすい
こうした特徴は周囲にも分かりやすく、「ADHDらしい」と言われやすい部分です。
しかし実際には、これは氷山の一角にすぎません。
水面下にある部分(実際のADHDで見られる困りごと)
【1】思考・実行機能の難しさ
- やるべきことを先延ばしにしてしまう
- スケジュールや時間の感覚があいまい
- 優先順位をつけるのが難しい
- タスクの切り替えに時間がかかる
こうした特徴は「怠け」や「意志の弱さ」ではなく、
脳の実行機能(行動を計画・整理・制御する力)の特性によるものです。
【2】感情・対人関係の困りごと
- 感情の波が大きく、急に落ち込んだりイライラしたりする
- 拒絶や批判に対して強い不安を感じる
- 話をしていても頭の中が別のことでいっぱいになりやすい
感情の揺れや他者とのズレは本人も気づきにくく、誤解されやすい部分でもあります。
【3】日常生活への影響
- 物をよく失くす、忘れ物が多い
- 食事・睡眠・身の回りの管理が苦手
- 興味があること以外に集中しづらい
- 慢性的な疲労や不安、自己否定感を抱きやすい
これらは小さな「できないこと」の積み重ねから生じ、
自己評価の低下や抑うつ傾向につながることもあります。
ADHDは「集中力の問題」ではない
ADHDは「集中力が足りない病気」ではなく、
脳の情報処理や実行機能の特性によるものです。
環境を整え、特性を理解することで、
ADHDの方が持つ「集中力・創造力・柔軟な発想」といった強みを活かすことができます。
氷山の下に隠れた努力や生きづらさに気づくことが、
支援と理解の第一歩です。
はやかわこころのクリニック一社では、ADHD/大人の発達障害/実行機能障害/不注意・集中力の問題
に関する診療・相談に加え、心理的サポートや栄養療法、生活面の工夫提案など、
多角的なアプローチで支援を行っています。
- 「大人のADHDかもしれない」
- 「集中できないのは性格のせい?」
- 「仕事や家事がうまく回らない」
こうした悩みを感じたときは、ご相談ください。
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